総　　評 　　　　　　　 選者：大山　謙一郎　先生

　最近は野外でヌードを撮ることが難しく、今回も場所探しに苦労しました。それでも良い場所が見つかり、多くの方が参加してくれたので、素晴らしい撮影会になりました。

　ヌード撮影ということで、ただの好奇心や興味本位で写真を撮る人もいます。しかし、ヌード撮影は、モデルの良い部分を見つけ、美しく見えるポーズや構図、光などを冷静に判断しなければなりません。今回入賞した作品は、どれもがしっかりと計算され、モデルを実に美しくとらえられていました。また、撮り手が羞恥心を捨てることも重要です。やはり恥ずかしがっては良い作品は撮れません。

　全体的にレベルの高いコンテストで、あらためて九州は写真がさかんな地域だと感じました。

※写真をクリックすると作品が拡大されます。
※掲載写真は応募作品の複写ですので、原版との色調の差がある　　ばあいがあります。　ご容赦ください。

【推薦】　 光を浴びて      黒木　丸生

　非常にシンプルな構図ですが、女性特有の丸みを持った美しい体のラインがしっかりとらえられています。背中から腰、ヒップにかけてのラインが左からの光を受けてくっきり浮かび上がり、逆にバスト側はシャドウになって、シルエットとしての美しさを持ちました。また、背中の後ろに空間を開けたことで、のびのびした印象も与えています。太陽の入れ方も絶妙ですね。太陽が画面に入っていることで、生き生きとした作品になりました。

【特選】　 風音（かざおと）        中尾　勝人

　モデルの前に薄い布が入ることでソフトフォーカスのような印象も受けますが、モデルにはしっかりピントがきているのでシャープに写し出されています。ハイキー調でモデルの手の動きや体のラインをきれいに表現しました。タイトルの通り、風の音が感じられます。

【特選】　 阿蘇異景        垣上　尚人

　背景に入れた阿蘇五岳の厳しい稜線と、女性の肩からバストにかけての柔らかい線、顎のラインの対比が良いですね。ローキーで撮り、胸や肩に当たっている光だけを残し、ほかは全体的に押さえた露光が見事です。しっかりと計算して撮った印象を受けました。

【準特選】　踊る髪 　　　 小松　　貢

　モデルが髪を振り上げる瞬間を見事にとらえました。計算できることではありませんが、髪が実に面白い形で止まっています。画面いっぱいの構図も良く、ストロボをたいたことでアイキャッチが入っている点も良いですね。

【準特選】　 輝くヒップライン        平野　敏幸

　この作品は露出をギリギリまで押さえている点が素晴らしいですね。女性のお尻だけに当たっている光を強調することで、モデルが引き立てられました。しっかりと光を読むことができたからこそ撮れた作品でしょう。

【準特選】　秋風と台地      高瀬　　誠

　布をうまく使い、体のラインを美しく表現しました。これは赤い布だったのですが、ひょっとしたらモノクロではなくカラーの方がよかったかもしれません。そうすれば布の赤と空の青のコントラストが映えていたと思います。